庭と居住空間が調和する家

市街地の中で自然と一緒に暮らす

　市街地にありながら自然に親しむ暮らし。モミジやサクラなどの落葉樹や四季の花々が庭を彩り、菜園ではさまざまな野菜が育つ。夫妻は光と風の中で庭づくりや野菜づくりを楽しむ暮らしを実現した。

　自然の息吹は居住空間にも通う。開放的な吹き抜けのリビングは、土間を通じて庭とつながる。カウンターのある細長い窓からも庭と菜園を眺められる。豆砂利洗い出しの土間に置かれた薪ストーブも自然に寄り添う。外光が降り注ぎ、庭に囲まれたリビングにいると、まるで森の中で暮らしているような気持ちになる。

　さらに、自然エネルギーを利用するＯＭソーラーを設置。冬は屋根で集めた太陽熱を床下に送って天然の床暖房に、夏は夜間の冷気を床下に蓄えて室内へ送る。自然の暖かさと涼しさが暮らしを包む。ＯＭソーラーは換気機能もあり、室内の空気はきれいで心地よい。

手本のような自然素材の住まい

　無垢材や珪藻土など、自然素材で造るお手本のような家。スギ材を張り上げた吹き抜けの勾配天井に、クリの太い梁がこの家のシンボルのように空間を横切る。床は全てアカマツ。天然の風合いとやさしい感触。ＯＭソーラーの効果とあいまって、素足が心地よい。

　土間の式台と細長いカウンターに使われているのはサクラ。ご夫妻で埼玉県南部の材木店へ出向き、木材の状態から選んだ逸品だ。リビングのテーブルにもサクラが使われている。　さらにテレビ台や吊り棚などの作り付け家具、細かいところでは敷居の４枚戸の下に敷かれたレールまで、ほとんど全ての造作に無垢材が用いられている。ちなみに塗料も自然素材の蜜蝋ワックス。構造材には群馬県産材が使用されている。壁は一面、珪藻土。調湿性に優れ、蒸し暑い季節も過ごしやすい。