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現代の技術でよみがえった 家族の思い出と時代をつなぐ 明治の蔵

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建設会社
堤建設(株)
竣工
2023年1月(リノベーション)

壁面の装飾を残す

 今回改修した蔵は、明治初頭のおよそ140年前に建てられたと伝えられている。過去に一度補強工事をした以外は大規模な改修をせず、当時のまま受け継がれてきた。蔵は土壁で覆われているため、内部の温度は外気温に左右されず一定に保たれるのが特徴で、昔から収穫した米の貯蔵庫として活用されてきた。東側の「味噌蔵」と呼ばれている下屋は、近所の人たちと共同で仕込んだ味噌や醤油を保管する場として長く使われてきた。

 先祖代々の歴史と思い出がつまった蔵の改修・補強工事を手掛けたのは、自由設計でデザイン性の豊かな注文住宅からリフォーム、メンテナンスと幅広く住まいをサポートする堤建設。蔵が作られた当時の雰囲気を残すことを大切に、4カ月にわたり工事を行った。

 ところどころはがれ落ち、傷みが生じていた漆喰塗りの外壁は、今後のメンテナンス性も考え、新たに外壁材を張ることで機能性と見た目を両立させた。ひび割れなど一部が傷んでいた屋根瓦は新調。南側の下屋は作り替え、屋根は銅板を張って窓や扉を取り付け、土間スペースに生まれ変わった。薪ストーブを入れて、夫婦の憩いの場として活用している。

 外観の改修で特に力を入れたのが、東西の壁面の装飾を可能な限り当時のまま残すこと。東の壁面上部は名字、西面には家紋があしらわれており、その部分を残すように外壁材を張ってくぼみを作った。装飾はいずれも漆喰で塗られて白一色だったが、堤隆雄会長のアイデアで文字や家紋以外を墨汁で塗った。すると文字も家紋もくっきりと浮かび上がり、これまでより立体感が増して濃淡のはっきりした深い味わいのある装飾に生まれ変わった。装飾上部の軒天の角度と破風板の取り合わせも絶妙だ。

内壁や床を板張りに

 石場立ての基礎はコンクリートで打ち直して耐震性を向上させ、一階と二階の床は補強して板張りにした。外壁は、元々ある柱に対してしっかり固定するために、一般住宅で使用する数倍の長さのビスで固定し、内壁は構造用合板を張って耐震性を高めた。古材が使われた屋根や梁は補強を施した上で現しにし、昔ながらの雰囲気を残した。元々は急勾配の階段だったが、今後は収納場所として使う予定の二階へ楽に上り下りができるようにと、緩やかな階段を造作して付け替えた。

 蔵戸と味噌蔵に出入りする戸は、風格と威厳のある引き戸。元の色合いを損なわないようにオイル仕上げにした。今まではどちらの戸も厚みがあり重量感もあることと、滑りも悪くなっていたために開閉が大変だったが、戸車や敷居部分を新調することで改善した。

時代の趣や面影を次の世代へ

 近年は蔵を壊す人も多いが、施主のTさんにとって、この蔵は生まれた時からずっと身近にあった建物。昔から家族が食料の貯蔵庫として活用し、蔵に出入りしていた記憶を今でもはっきりと覚えていて、「つぶしてしまうのはもったいない」と考えていた。年齢的にも次の世代への引き継ぎを考える時が近づいてきた。古いものを古いまま残すのではなく、「自分の代でいつか改修して、後世にも大切に残してほしい」という思いが、蔵に新たな命を吹き込んだ。

この家を建てた建設会社Constructor

堤建設(株)
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営業時間
9:00~18:00 年末年始・夏季休暇
本社所在地
北群馬郡吉岡町小倉494

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