空き家を更地にしたら、固定資産税が増える?―関東信越税理士会群馬県支部連合会

空き家
空き家を更地にしたら、どうなるの?
       

親の家を相続する際、遠方に住んでいたり、すでに自分の住まいを所有していたりすると、その家が空き家になる可能性が高くなる。相続は空き家が増加する要因の一つであり、相続後に土地や建物の所有者となれば、固定資産税を毎年払わなければならない。

 

関東信越税理士会群馬県支部連合会は、空き家であっても条件を満たせば住宅用地の特例を受けられる一方、管理の状態によっては固定資産税の軽減が受けられないこともあるとし、「十分な対策や管理を行うことが重要だ」と話す。

 

自分が所有する土地・建物の固定資産税がいくらなのか、空き家のままにしておくと税額はどうなるかを知っておくことが大切だ。

          
固定資産税は建物があるか更地かで異なる
       

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地、家屋所有者として各自治体の固定資産課税台帳に登録されている人に対して課税される。

 

土地の上に住宅がある場合、その敷地は住宅用地の特例として、「住宅用地の軽減措置特例」が適用され、敷地面積200平方㍍までの住宅は固定資産税が6分の1に減額される。これは入居の有無に関係ないため、建物がそのままの状態の空き家が増加している一因となっている。

 

建物の老朽化や売却を予定している場合、築年数が経っていなければ、そのままの状態で中古住宅として売り出すこともできるが、古い住宅は更地のほうが買い手は見つかりやすく、高く売却できる場合もある。更地にした場合、建物にかかる固定資産税はなくなるが、土地に対する軽減措置がなくなるため税の負担が重くなる。

 

建物がある限り固定資産税の軽減措置が受けられるからと、最近は倒壊の危険性がある建物をそのまま放置する例が増え、社会問題化している。空き家を解体する際の費用を助成したり、売却先や再利用の方法について相談に応じたりなど、空き家の所有者を積極的に支援する自治体も増えているので、管理に不安を感じたら相談するのも一つの方法だ。

          
特定空き家とは
  

          

倒壊などの危険性の高い空き家を減らし、所有者に対し適切な管理と活用を促す「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」が2015年に全面施行された。

 

空き家の中でも管理が不十分で放置されているような住宅は「特定空き家」に指定され、住宅用地の軽減措置特例の対象外となる。国土交通省は「特定空き家」と判断する基本指針として、

①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

②著しく衛生上有害となるおそれのある状態

③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

の4項目が挙げられている。

 

「特定空き家」に指定されると、自治体の助言や指導が入り、改善されない場合は勧告が出され、固定資産税の「住宅用地の軽減措置特例」の対象から除外される。勧告に従わない場合は命令が出され、違反すると最大50万円以下の罰金が科せられる。

 

建物が老朽化している場合、「特定空き家」に指定される可能性があり、リフォームや建て替えに多額の費用が発生することになる。所有者は売却するなどの選択を迫られるが、劣化の進んだ物件をいざ売却しようと思っても、買い手がなかなか見つからないといった問題に直面しやすい。できるだけ早めに、空き家の管理や将来的な対処方法について検討しておくことが大切だ。

     

          
空き家等を売った時に受けられる特例
  

          

相続した空き家及びその敷地を譲渡した場合、一定の要件を満たすとその譲渡所得の金額から最高3000万円の控除が受けられるという特例がある。

 

特例を受けるためには

●2016(平成28)年4月1日から2023(令和5)年12月31日までに譲渡すること

●相続から譲渡の間、事業や貸付け、居住に使用していないこと

●1981(昭和56)年5月31日以前に建築されたものであること

●相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

●売却代金が1億円以下であること

など、複数の適用要件がある。

 

節税にもなる制度だが、適用を受けるには要件や期限があるため、関東信越税理士会群馬県支部連合会は、「該当するかどうか自己判断せず、詳しくは最寄りの税務署か税理士に相談してほしい」と話している。

 

(取材協力 関東信越税理士会群馬県支部連合会、電話027・234・6131)

  

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