「実家の片付け」を考える

空き家
「実家の片付け」を考える
       

年末年始の帰省の際、高齢の両親が暮らす家を見て「片付けなければ」と思う人は少なくないだろう。およそ6軒に1軒が空き家と言われる時代だが、その中には両親の家財道具がそのまま残っているために解体や売却、賃貸、利活用ができないというケースもある。そうならないためにも、両親が元気な今のうちにできることはないだろうか。前橋市の整理収納アドバイザー、おのあけみさんにアドバイスしてもらった。

 

おのあけみさん
実家片づけのイロハ主宰。保有資格は二級建築士、宅地建物取引士ほか。県内各地で片付け講座を開いているほか、出張片付けサポートを行っている。

          
★「安心・安全・健康な家」が目標
       

高齢者の家に行くと、キッチンに食材が山ほどありながら、その多くが賞味期限切れというケースをよく目にします。はさみが見つからないからといって何度も買ってしまい、リビングから大量に出てきたこともありました。モノがない時代を生き、モノを買うことによって幸せを感じてきた世代ですから、「処分する」「捨てる」と考える人は少ないようです。

 

片付けの目標は、「安全・安心に住める健康な家」を作ることです。高齢者はちょっと置いたものに足をとられて転倒する危険があり、そのまま介護が必要になってしまうこともあります。安全面からも早めに室内を整えましょう。片付ければ、「探し物が減る」「部屋が広くなる」「掃除がしやすくなる」「無駄な買い物が減る」など、メリットがたくさんあります。何よりも住み慣れた家で長く暮らせます。

          
★判断基準は「今、自分が必要なモノ」
       

高齢の両親と一緒に片付けをする時は、「捨てる」ではなく「手放す」という言葉を使うのがお勧めです。「捨てる」では罪悪感が出てきて、なかなか思い切れません。手放す方法は人にあげたり、売ったり、リサイクル、寄付と考えると手放せる気がしませんか?きちんと分別すれば「資源になる」と話すのもいいかもしれません。

自宅にあるモノのうち、生活に使うのはそのうち2割程度と言われています。モノの量にもよりますが、今の半分くらいにする気持ちで片付けるといいでしょう。片付けで一番大切で一番難しいのが「整理」です。「整理」とは必要なモノと不要なモノを仕分けて、不要なモノを手放すことです。判断の基準は「今、自分が必要なモノ」。仕分けして、迷ったら一時保管とし、半年後や一年後などに見直します。最初は保管するモノが多いかもしれませんが、だんだん減っていきます。

          
★順番は「避難経路の確保」から
       

最初に片付け始めるのは防災の観点から避難経路となる廊下や階段。次はキッチンやリビングなど普段いる場所がお勧めです。キッチンが片付くと料理をしようという気持ちになり、リビングがすっきりすれば気持ち良く過ごせます。洗面所やトイレなどの共有スペースは、狭い場所なので効果がすぐに感じられ、達成感を味わえます。

空き家では、庭木が生い茂ったり、動物がすみついたり、害虫がわいたりして、近隣に迷惑をかけているケースがあります。防犯や防火の面からも、家の外回りも忘れずに見直しましょう。

 

今後の暮らしを快適にするために、思い立った時が始め時。片付けは高齢者自身のためでもあり、家族のためでもあるからです。

          

取材協力:おの あけみさん

実家片づけのイロハ主宰。
保有資格は二級建築士、宅地建物取引士ほか。
県内各地で片付け講座を開いているほか、出張片付けサポートを行っている。

ブログ:https://ameblo.jp/katazuke-akemi/
TEL:090-6937-1103

          

「そろそろ、片付けた方がいいよ!」診断

 

□テレビや新聞の、年金や健康の話が気になる
□大家族だったころの食器がそのまま食器棚に納まっている
□探し物が見つからないと、つい購入してしまう
□ひな人形・五月人形はもう何年も飾っていない
□何年も開けていない押し入れや倉庫に何が入っているか分からない
など

 

★気になる項目がある場合、気力・体力があるうちに片付けに着手しましょう!

  

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