移住増へ企業や農の力 峠の歴史、文化も生かす 安中市が行動計画

移住増へ企業や農の力 峠の歴史、文化も生かす 安中市が行動計画
       

人口減少と高齢化を受け、安中市は移住・定住政策を強化する。本年度から3年間を対象期間とするアクションプラン(行動計画)を策定した。市内企業の従業員らに移住を考えてもらう「企業連携」、移住先として関心を集めやすい農業をPRする「農ライフ」、人口減に対応した地域の在り方を探る「地域づくり」など4分野のプランを設定。各分野で新入社員向けツアー、農業体験プログラムの提供など具体的な施策を進め、人口維持を目指す。

「企業連携」は、市内企業で働く市外在住者と地域がつながる機会を設け、働くだけでなく、暮らす場所としても考えてもらうことを目指す。新入社員の研修で市職員が講師として市の魅力をPRしたり、市を知ってもらうためのツアーを企画したりする。

「農ライフ」は、東京駅から新幹線で約1時間の交通利便性の高さと、ぐんま三大梅林に数えられる秋間梅林や畑作に適した豊かな農業基盤が共存する特性をPRし、移住者を獲得する取り組み。農業体験や宿泊を組み合わせた「農泊」などのプログラムを提供し、移住を検討してもらう。

「峠のまち」として、古くから交通の要衝として人やモノが行き交ってきた碓氷峠周辺の歴史や文化を生かすことも盛り込んだ。多彩な人が集まるマルシェを定期的に開き、移住希望者らの交流の場などとする。空き家情報を集約し、峠のまちに暮らす独自性を魅力として発信する。

この3分野で移住者の獲得を目指すと同時に、少ない人口でも地域が回る仕組みを探る「地域づくり」の分野を設けた。

各地区の公民館を拠点とする「地域づくり協議会(仮称)」を立ち上げ、地域で活動するさまざまな個人や団体をつなぎ、地域課題の解決や暮らしやすさの向上などに取り組むことを想定している。今後、モデル地区を選定して設立を進める予定。

市によると、市人口は2000年の6万4千人をピークに減少に転じ、25年は5万1千人。50年には3万4千人とさらに30%以上減ることが推計されている。地域経済や地域コミュニティーの縮小、行政サービスの質の低下などが懸念されることから、アクションプランを策定して対策を強化することにした。

昨年度、移住者や不動産業者、市内企業の人事担当者、学生ら30人で構成する策定委員会を立ち上げ、ワークショップ形式で内容を検討。市内の中学生や高校生、転入者、企業の従業員らへのアンケートの結果も反映させて策定した。

岩井均市長はプランにつて「『労力が小さくても地域が回る仕組み』と『人口を維持する』という二つの目的を同時に達成し、地域の仕組みを維持することを目指す。地域の皆さんと一緒に進めていきたい」としている。

  

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