NPO法人顧問 高野 憲一さん(65) =甘楽町福島
甘楽町の地域おこし協力隊員だった2023年、同町に移住した。元林野庁職員で国際協力機構(JICA)の専門家として途上国支援に携わった経験を生かし、協力隊の任期後も町の森林行政や国際協力の推進に汗を流している。
横浜市出身。山形大農学部を卒業後、林野庁に入庁した。最初の赴任地は前橋営林局(現関東森林管理局)で、砂防工事の設計監理を担当。JICAの専門家派遣制度でフィリピンやパナマ、ラオスに赴いて技術支援に携わり、群馬森林管理署長で定年を迎えた。
甘楽町の地域おこし協力隊になったのは22年。青年海外協力隊の派遣前研修を請け負うNPO法人自然塾寺子屋(同町)の矢島亮一理事長から誘われたのがきっかけだった。「パナマに派遣されていた時、青年海外協力隊として同国に来ていた矢島さんと知り合った。妻が渋川市出身だったことも背中を押した」
町産業課農林係に配属され、手入れの行き届いていない森林の管理を所有者から受託する森林経営管理制度の運用に携わった。所有者不明の森林について、相続者の探索や一定期間の公告を経て町が管理権を設定できる特例措置の適用に踏み切り、取り組みは好事例として林野庁のホームページに掲載された。
今年5月に協力隊の任期を終えてからもパート職員として町の森林行政を支援し、自然塾寺子屋の技術顧問として派遣前の青年海外協力隊員への講義などをしている。「地方自治体には森林林業に対する専門知識を持つ職員が少ない。森林資源を有効活用できるようにお手伝いしていきたい」と力を込める。
都内のマンションを売却して町内にこしらえた「ついのすみか」には県産材をふんだんに利用。町内の原木シイタケ農家から残材を譲り受け、まきストーブで生活する。近くの耕作放棄地を借りて有機野菜作りも始め、キャベツやダイコン、タマネギなど多品目を作っている。「いろいろな人とのご縁があって甘楽町に住むことができている。山と農地に囲まれて自然と共存して暮らしていきたい」
【マイ・フェイバリット・群馬】秋畑那須地区の段々畑 里山の穏やかな眺め
「ちぃじがき」と呼ばれる石垣で段々畑を支え、ソバを作ってきた甘楽町の秋畑那須地区。この段々畑の上から眺める景色が好き。穏やかでのんびりとした里山の暮らしを肌で感じることができる。
小幡地区の小幡山公園からの眺望もおすすめ。上毛三山を見渡すことができ、冬は夕日が美しい。温泉も好きで甘楽ふるさと館の入浴施設によく行っている。
