自然の中「毎日が充実」 広い畑、野菜や果樹に挑戦

自然の中「毎日が充実」 広い畑、野菜や果樹に挑戦
       

会社員 松本 宏行さん(63)寛子さん(57)=高山村尻高

「毎日が充実している」。東京都練馬区から今年1月、高山村に移住した松本宏行さん(63)、寛子さん(57)夫妻は声をそろえる。自然あふれる山での生活を希望していた宏行さんと、趣味の家庭菜園が高じて畑を持ちたいと考えていた寛子さん。憧れた生活を群馬でかなえようとしている。

東京の広告代理店に勤める宏行さん。趣味が山登りであることや、別荘を持つ友人が周囲にいることもあり、潜在的に山間地での生活に憧れていたという。一方、寛子さんは防災意識の高まりもあり、定年後の選択肢の一つとして、移住をぼんやりと考えるようになった。地図を広げて防災に優れた山間地の観光スポットを探し、旅行感覚で巡るのが休日の楽しみになっていた。

そんな中、高山村を訪れた2023年1月、道の駅中山盆地から見える雄大な自然にほれ込んだという。冗談半分だった移住計画が、現実味を帯び始めた瞬間だった。

同村の存在すら知らなかったという2人。村移住コーディネーターの支援を受けながら、物件探しや移住者コミュニティーとの交流を進めていった。東京では縁遠かった稲刈りなどの農作業を体験する中で、村で暮らすイメージを膨らませた。

とんとん拍子で計画は進み、昨年12月に300坪の畑を有する5LDKの一軒家を購入。今年1月に住民票を移した。

現在、広大な畑では多種多様な作物が育てられている。肥料は使わず水やりを極力天候に委ねた、自然豊かな地域ならではの農法で、トマトやキュウリといった野菜のほか、ブルーベリーやリンゴといった果樹にも挑戦。地域住民と種子の交換や生育状況の共有を行いながら、日に日に畑を充実させている。

「庭に出て行くとやりたいことが見付かる」と寛子さん。実験と検証の日々に胸を躍らせる。

今後はさらに畑を充実させ、ゆくゆくは自給自足を目指すという。東京ではイメージしづらかったという定年後だが、今は「楽しいことが待っていそう」と2人。第二の人生を着実に歩み始めた。

【マイ・フェイバリット・群馬】高山温泉いぶきの湯 交流の場、心も体も温か
畑仕事で疲れた体をねぎらう場であると共に、地域の人や観光客との交流の場でもある。人とのつながりを感じられる場所は貴重で、気付けばほとんど毎日通っている。
育てた野菜の種子を譲ったり、譲られたり。時には脱衣所のかごにお土産が入っていることもあった。心も体も温めてくれる、生活に欠かせない場所になっている。

  

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