みどり市大間々地区 空き家改装、交流拠点 旧宿場町に時代合う店 

みどり市大間々地区 空き家改装、交流拠点 旧宿場町に時代合う店 
       

夜の町に点々と明かりがともり、笑い声がもれ聞こえてくる。江戸時代に宿場として栄えたみどり市の大間々町中心街。いつしかシャッターが目立つようになった本町通り沿いでここ数年、空き家を改装した開業が相次いでいる。

週末の夜限定で営業するカフェ「TWINKLE☆S(ティンクルスターズ)大島屋」では、町内外の人が世代を超えてミニ四駆を楽しむ。木工作家の瀬谷建博さん(41)が、解体予定の築約100年の古民家を買い取り、2022年にギャラリーとしてオープンした。カフェに改装後、昨年秋にたまたま開いたマシンの走行会が好評を集め、毎週のように町内外から愛好家が集う。瀬谷さんは「趣があり、解体されるくらいなら自分が生かそうと思った」と振り返る。

黒保根村(現桐生市)出身で、買い物となればわたらせ渓谷鉄道で大間々に出向いた。小学生の頃に中心街のおもちゃ屋で他の子どもたちとミニ四駆を走らせた記憶が心に残っている。

大間々町中心街は江戸時代に宿場として栄えたが、1985年に約2万3500人だった町の人口は約1万7千人(8月末現在)に減少。2022年には過疎地域に指定された。

町の活性化を図ろうと、市は同年、リノベーションまちづくり事業を開始。23年に地域の橋渡し役を育てる「家守塾」、24年に空き家の利活用法を考案する「リノベーションスクール」を開催し、まちづくりに関心を持つ人を後押しした。

ティンクルスターズでは小学生から60代までの常連客が黙々と製作するほか、女子高生が勉強したりギター演奏が始まったりと老若男女が自由に時を過ごす。見知らぬ客同士でも、同じ空間にいることでいつの間にか雑談が始まる。瀬谷さんは「もうけはあまりないが、店を続かせて町のにぎわいをつくりたい。各店ができることをすることで、いずれ点が面になる」と町の未来を見据える。

家守塾などのサポートは、参加者の瀬谷さんをはじめ、ここ3年ほど続く市内外の有志や移住者による空き家を改装した出店の動きを刺激した。今年3月、通り沿いにオープンした「Haji―Maru(ハジマル)」もその一つ。家守塾メンバーの片山翔平さん(42)らが手がけた築約100年の空き家を改装した曜日貸し店舗で、飲食店の開業を目指す若者が日替わりで出店している。

交流拠点の一つにしようと、毎月第3土曜にはマーケットイベントを開催。キッズスペースを新設するなど現在も改装中で、町に若者や観光客を呼び込むべく、来年には2階部分にシェアハウスやゲストハウスの開設も計画している。

片山さんは、大間々は中心街を徒歩で回れ、適度に人家も集まった密度のある町だとして成長の可能性を指摘。「時代の流れを受け入れられなければ町は衰退する。時代に合わせた形で店を運営し、町が動いていることを示していきたい」と言葉に熱を込めた。

【メモ】市街で開業相次ぐ
大間々町は2006年に笠懸、勢多東の2町村と合併し、みどり市となった。中心街や山あいの町北部で人口減少が課題となっている一方、ここ数年で立ち飲み屋、古道具店、サウナなどの開業が市街で相次いでいる。
市は今年3月、まちづくりの指針「大間々官民共創デザイン」を策定。徒歩圏に人や店などが集積する「ウオーカブルなまちづくり」を目指し、官民協働で活性化に取り組んでいる。

  

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