東京圏から地方への移住を後押しする「移住支援金」=ズーム=で、2024年度の県内自治体の支給件数は42件増の301件(移住者630人)で、静岡県の342件(723人)に次いで全国2番目だったことが内閣府のまとめで分かった。このうち、高崎市は前年度比17件増の115件(234人)と4割近くを占め、上毛新聞の調べで全国の市町村で最も多かった。2月に公表された移住希望先の全国ランキングで1位となるなど本県の人気の高まりが数字に現れた格好だ。
◎東京圏から42件増301件 高崎市は全国最多
国の事務局によると、24年度は東京、神奈川、大阪を除く44道府県の1318市町村が事業に参加し、総支給件数は7826件、移住者は1万1205人だった。
道府県別の3位以下は長野(244件、588人)、栃木(243件、573人)、新潟(200件、421人)、宮城(171件、350人)と続いた。上毛新聞が上位の各道県に確認したところ、高崎市の115件以上の市町村はなく、同市が2年連続で全国最多と判明した。
群馬県によると、県内で高崎市に次いで多いのは前橋市で12件増の72件(143人)。太田市が7件増の31件(79人)、伊勢崎市が5件増の17件(29人)と続いた。8市と7町村が前年度を上回っており、市の増加が目立った。
NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京都)がまとめた移住希望地のランキングによると、本県は20代以下から50代までの各世代で1位、全体でも初めてトップになった。前橋市の担当者は「都市部で件数が増えているのはランキングの結果も作用しているのでは」との見方を示す。
一方、太田市の担当者は「知り合いが支給されたという人からの問い合わせや相談が増えている」とし、制度の周知を増加要因に挙げる。
2年連続で全国最多となった高崎市は、移住先でテレワークをする人が制度の対象になった21年度以降、右肩上がりで増加。24年度の事業費は約1億2千万円に上り、本年度は1億円を見込んでいる。担当者は東京へのアクセスや子育て環境の良さなど住環境が総合的に評価されているとした上で、「移住支援金が最後の後押しになる可能性があるのでしっかり対応したい」としている。
【ズーム】 移住支援金
東京23区の居住者か、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から23区に通勤している人が対象。家族で移住する場合、最大300万円の基礎部分のほかに、18歳未満の子ども1人当たり最大100万円を加算する。受け入れ側の市町村が最大限の範囲内で支給額を決め、移住者に支払う。移住先で働きながら5年以上暮らすことが条件で、その前に転出した場合は返金を求める。