高崎市が、住民で自主的に結成して地域の安全を守る「自警団」の編成を呼びかけ、活動を支援するために月最大19万円などを支給する補助制度を創設することが分かった。空き巣や忍び込みなどの犯罪を防ぐため、地域のパトロールを強化する狙い。窃盗被害が相次いでいる城山、南陽台の2小学校区で今秋から先行的に始め、対象地域を拡大する。
市によると、自警団は地元の防犯委員や青色防犯パトロール車(青パト)団体、消防団などの地元関係者で小学校区ごとに編成する。活動はパトロールを中心とし、昼間は午前と午後に徒歩や自転車で、夜間は消防団が行う。深夜帯は警備会社に依頼することも可能という。
毎月の活動費に加え、編成時にも1校区当たり10万円(1回のみ)を補助する。各自治体が自主防犯団体にさまざまな金額の活動補助金を支給しているが、月最大19万円を補助するのは「破格」(市の担当者)とみられる。10校区分の関連経費として1240万円を盛り込んだ予算案を市議会9月定例会に提案する考え。
背景には、高齢化率が高く空き家が多い地域で空き巣や忍び込みなどの犯罪が多く、地元住民の脅威となっていることがある。2024年の県内刑法犯認知件数のうち窃盗犯は前年比1083件増の1万995件で罪種別で最多。このうち空き巣や忍び込みを含む「侵入盗」は581件増の2467件と増加傾向にあり、同市内でも課題となっている。
城山町2丁目町内会区長の笠原了さん(72)によると、5月には城山地区全体で一晩に5件の窃盗被害が発生し、住民から不安の声が相次いだ。「ここ数年は、住んでいるのに窓ガラスを割って住居侵入する被害が増えている。被害が起こらないような地域づくりにつなげたい」と意気込む。
吉井町第35区(南陽台2丁目)区長の吉田清彦さん(68)も「昨年1年間に(南陽台地区全体で)9件の窃盗被害があった。城山と同じく今年5月には一晩で4件やられた。活動の補助は大変ありがたい。地域の安全を地域で守っていきたい」と話した。
富岡賢治市長は「凶悪犯罪から市民の生命を守るには、公助だけでなく自助と共助も必要。自警団編成とそのパトロール活動を進めていただければ」と期待している。