アートディレクター 斎藤 麻生さん(48)=みどり市大間々町小平
みどり市大間々町小平の山あい。細い道を進んだ先に自宅兼アトリエが立つ。2023年3月に移住し、デザインを考えたりアパレルを作ったりしている。「縁がない土地だったが、暮らしてみて良さが分かった」と率直に表現する。
愛知県生まれ。小学3年から都内の美術大に進むまで福岡県で暮らした。美大ではガラス制作を専攻、卒業後は都内のデザイン会社などに勤め、店舗のロゴマークや化粧品のパッケージをはじめさまざまな意匠を生み出した。
9年前の出産に伴い夫、大介さん(45)の地元である長野市へ転居した。6年住んだ後、長男の小学校進学や大介さんがレコード店を開業するのに合わせて移住を決めた。当初は長野県内や都内の山あいで物件を探したが、価格の手頃さや都心へのアクセスが決め手となり、みどり市にたどり着いた。
移り住んで感じるのは「明るくオープンな県民性」だという。「人懐こく、よそから来た人にでも興味を持ってくれる。それでいて必要以上に詮索しない」と好感を抱く。
畑を耕し、静かな環境で雑貨や服飾制作に打ち込む日々に満足しつつ、長野県より山や道沿いの樹木の手入れが行き届いていないと感じた。運転中も枝葉が乱雑に生い茂っているように見える。「観光で訪れた人の気持ちに立つと、もったいない」。まちづくりについて移住者の視点から交流のある市職員に意見を伝えることもある。
一方、進言するだけでなく技術や経験を生かして地域活動にも参加する。24年11月には、地元公民館であった幼児や保護者向けのワークショップで講師を務めた。市が3月にまとめた大間々地区のまちづくりの指針「大間々官民共創デザイン」では、まちの将来像をイラストで表現した。
地域の観光施設「小平の里」では現在夏祭りが開かれている。ここでもチラシのデザインや出店者、ゲストの調整を担い、自身も飲食品を提供している。
根底にあるのは地域を少しでも良くしたいという思い。「群馬の人と関わる中で、いろいろと本音を言えるようになった。時にぶつかることもあるかもしれないが、議論しながら子どものために良いまちをつくっていきたい」と決めている。
【マイ・フェイバリット・群馬】
◎梅田湖(桐生市)周辺 景色良く子ども遊べる
山や湖が見え、景色が気持ち良い。冬になるとロウバイがきれいで、公園に遊具があるので子どもと遊ぶのにちょうど良い。
正直に言うと、群馬をあまり回れていない。まだまだ知らないことが多いのでいろいろ巡りたい。草津や伊香保といった各地の温泉を試してみたいし、富岡製糸場や周辺の町並みも散策してみたい。