経営者セミナー主宰 西村 晃さん(68) =前橋市文京町
東京に生まれ育ち、今も都内や九州で定期的に経営者セミナーを主宰する。新型コロナウイルスでの社会変容を機に前橋市へ移り住んだ。「消費者目線で言えば、体感として日本一」と評価する。
移住前は横浜市で四半世紀暮らし「終の棲家になるだろう」と感じていた。2019年、心筋梗塞に。7時間の手術の末に命を取り留めた。折しも、市内に停泊した大型旅客船で新型コロナの集団感染が発生した。「3密(密閉、密集、密接)回避」の呼びかけに応じ、移住を決めた。
新幹線で都内に通え、3密が発生しづらい地域の一軒家を探した。地震のリスクも考慮し、栃木、群馬、長野の3県に絞った。「高齢になってからの移住で雪かきは耐えられない」と本県に照準を定めた。そう遠くない時期の免許返納後も念頭に駅から徒歩圏内を見繕い、現在の場所に巡り合った。
20年末に転居。経済評論家として、居住地としての本県の強みが時を重ねるごとに見えてきたという。
関越道や上信越道、北関東道が交わる高速道路の結節点で「物流の利便性が突出している」と話す。集積する小売店の競争激化は低価格を生み出し「買い手にとっては便利この上ない」と指摘する。スーパーマーケットやホームセンター、家電量販店と、海外資本の大型店を含み充実ぶりを実感している。
文化面も都内と遜色ないと思っている。都内からのアクセスの観点から県内で公演する音楽家も少なくないと分析、自身も移住前と同程度の鑑賞を楽しんでいる。
主宰するセミナーで本県の「推し」を繰り返しているためか、県外の経営者が県内でのビジネスに乗り出すケースが出てきたという。「せっかく縁をもらったのだから、外様として群馬の成長を後押ししていきたい」。前橋、高崎両市がさらに連携を深めることで、広域商圏として県外と勝負していけるかが、今後の成長のキーワードだとみる。「どこにも負けない良さがある。群馬を伸ばしていきたい」(北沢彩)
【マイ・フェイバリット・群馬】
◎イチゴや野菜、水 質の高さPR期待
イチゴがおいしい。都内である程度良い値段で販売しているものと比べても、味が濃くてジューシー。その他、浄水器が必要ないほどおいしい水道水、新鮮な上に安価な野菜も捨てがたい。
「素材のクオリティーの高さ」は本県の良さだが、「ブランディング(ブランドの確立)の下手さ」の裏返しとも言える。ブレないブランディングができれば相当高い付加価値で県外に売り出すことが可能だ。