就農通じ郷土愛実感 指導員経て父の地元へ

就農通じ郷土愛実感 指導員経て父の地元へ
       

農業 金井 要樹さん(40) =藤岡市上落合

東京大大学院農学生命科学研究科で植物を探究し、古里の千葉県で2018年3月まで県の農業普及指導員だった。「農家と接するうちに農業をやりたくなった」。まずは農業の現場感覚をつかもうと、偶然見つけた岩手県遠野市の地域おこし協力隊になって市内の農業法人で21年8月末まで働いた。

父親の実家は高崎市。本県で暮らしたことはなかったが、子どもの時に盆や年末年始にたびたび訪れ、なじみはあった。介護のため両親が同市に引っ越し、より身近に感じていた。就農を目指し、さらに経験を積むため雇ってもらえるイチゴ農家と、同市と周辺の農地を探した。

イチゴは普及指導員の経験から安定した収入を得やすいと考えた。求人広告を見て、藤岡市下大塚のイチゴ農家に勤めた。運良く隣地で使われていない農地の紹介を受け、22年8月に約40アールを購入した。

「藤岡は県内有数のイチゴ産地。就農するにはいい場所だ」と感じた。

鉄骨ビニールハウスを建てて「やよいひめ」を作付け、JAたのふじに出荷している。初年度は植え付け作業が遅れ、計画より収量が少なかったが、今年は反省を生かし順調に出荷できた。「周りにイチゴ農家が多く、若手農家の知り合いが増えた」と産地のありがたみを感じている。

珍しい品目でも勝負する。ビールのつまみになるとスペインで出回っているという野菜「パドロン」。遠野市の農業法人で働いていた際に栽培を担っていた品目だ。収穫適期を逃しやすい上、栽培管理が不適切な場合に想定外の辛さになる。品質が不安定で経験がないと難しいという。

「辛さを見極められる人が少なく、新規参入が難しい品目だからこそ挑戦したい」と今夏から販売を始めた。道の駅ららん藤岡(藤岡市)などで直売するほか、市内の飲食店に卸している。

同市上落合の借り家に住む。「家も人のつてで紹介してもらった。溶け込んでみれば温かい人が多い。作業を手伝ってと言える仲間が増えて過ごしやすくなった」。出身地はベッドタウンの千葉県流山市のため「藤岡はみんなが何かでつながっている郷土愛のある地域」と感じる。本年度、市消防団員となり、地域への関心をさらに高める。

【マイ・フェイバリット・群馬】
◎かたしな高原スキー場 雰囲気と景色が最高
移住してから初めて訪れたスキー客専門のかたしな高原スキー場(片品村)。イメージキャラクターがミッフィーで、スキー客に限っているため「ほのぼのとした温かい雰囲気に包まれている」。山々もきれいに見えて景色も最高だ。
幼少期からスキーに親しんでいた。県内にはスキー場が多く「どこも日帰りで行きやすく、便利なところ」と思う。登山も好きで谷川岳も近くていい。

  

他の記事を読む

カテゴリー