会社員 小杉 周平さん(36) =館林市本町
「地域のコミュニティーが密。水辺があるのもすてきだと感じた」
2021年2月、館林市に移住した。撮影やデザインといった自身の強みを生かしつつ、地域とのつながりを楽しんでいる。
琵琶湖の東側に位置する滋賀県愛荘町出身。田んぼと20軒ほどの家が並ぶ、人間関係が近い集落で育った。「近所は皆知り合い。安心感があった」
同県の短大を卒業後、カメラマンを志しオーストラリアへ。帰国後は東京・文京区に住み、フリーカメラマンとして一時活動した後、仕事で関わりのあった都内の企業に入った。
第1子が生まれたのはコロナ禍のさなか。外出できない状態が続いた。加えて都内での暮らしは、地元の滋賀県と比べ近所付き合いが少なかった。「住んでいるだけで、寂しい感じがした」。子育て環境や地域のコミュニティーを求め移住を決断、8年暮らした都内を後にした。
自然環境や東毛地域出身の妻の実家、都内のオフィスへのアクセスを考え、同市と埼玉県熊谷市を移住先の最終候補に絞った。「熊谷は整い過ぎて、文京区と変わらない。良い意味で足りないものがある」と館林市に決めた。
今は週に2~3日、都内のオフィスに出勤し、残りは自宅でリモートワークをしている。勤務先までは片道2時間半ほど。東武伊勢崎線を経由して通う。移動時間は読書に充てるなどして有効活用している。
移住から4年。「館林はちょうど良い、住みやすいまち」と感じる。市伝統の綿織物、館林紬(つむぎ)の再興に取り組む合同会社「紬・組」との出合い。お気に入りの城沼で知人が増えたこと。地域に溶け込み「人の温かみを感じる。東京にないものを得ている」
これまでに依頼を受けて撮影の講座を開いたり、店のロゴをデザインしたりした。休日には地域の祭りやイベントに顔を出す。今後も「人とのつながりを大事にしていきたい」と話す。
唯一の想定外は夏の暑さ。連日40度に迫る気温に「こんなに暑いとは思っていなかった」と苦笑いする。
【マイ・フェイバリット・群馬】
◎城沼 朝の光景インスタに
「いつ見てもきれい」。月に数回は通う。欠かせないのはカメラとコーヒーセット。特に日が昇る朝の光景がお気に入りで、撮影した写真は自身のインスタグラムで紹介する。
よく過ごしているのは、市営尾曳駐車場のすぐ近くにある船着き場の近く。コーヒーを介して知人も増えた。「朝に出かけて、なじみの人たちと話すことも楽しい」。家族でもよく周辺を散歩している。