挑戦する人地域が応援 町内外交流アプリ開発へ

挑戦する人地域が応援 町内外交流アプリ開発へ
       

「ゲストハウス&コワーキングスペースほとり」オーナー 田宮 幸子さん(34) =みなかみ町湯原

みなかみ町湯原の水上温泉街で「ゲストハウス&コワーキングスペースほとり」を営む。ワークショップや座談会などイベントも開催し、観光客や地元住民、移住者が交流する拠点の役割を果たしている。「観光に来ただけでは分からないこともある。地域の文化や住民の人柄を楽しんでもらいたい」と話す。

相模原市出身。ITエンジニアとして都内の企業で働いた後、リモートワークをしながら東南アジアを周遊した。次はどの国へ行こうかと考えていた時、コロナ禍に見舞われた。

「どうせなら田舎でのんびりしよう」と考え、定額の多拠点居住サービスを利用して全国を転々とした。以前から自然に近い所で暮らしたいと思っていたこともあり、本格的に地方移住を考え始めた。そんな中で訪れたのが、みなかみ町だった。

2020年11月に1週間町に滞在した際、リモートワークをしながら週末だけ狩猟をする女性会社員と出会い、意気投合した。「こんなに面白い人がいるなら移住してしまおう」と、わずか1カ月後の12月、みなかみにやって来た。

当初はデジタル技術を使って住民同士が交流を深めながら、自然豊かな暮らしを楽しむ「村」を一からつくり上げる構想を練っていたが、管理が難しく断念。一方、町内で温泉街にゲストハウスとコワーキングスペースをつくる計画が進行しており、理念に共感した。地域住民らと共同で会社を立ち上げ、21年6月に「ほとり」をオープンした。

現在は町内外の人が交流するきっかけを作ろうと、アプリの開発にも取り組んでいる。人やモノを募集したり、さまざまな情報が集まるプラットフォームにするつもりだ。個性的な住民が多いことが町の魅力の一つだと考えており、「地域の人のファンになってもらい、町内外の人が何回も通ってくれるようにしたい」と意気込む。

移住当初は厳しい寒さに悩まされた。自宅の室温が氷点下になり、水道管が破裂したこともあったが、春が来た喜びはひとしおだった。「おかげで何があっても動じなくなった。渓流を歩いたり、山菜を採って食べたり、楽しいです」とほほ笑む。

みなかみの魅力は人のバランスの良さ。ほどよい距離感を保ちつつ、チャレンジする人のことを全力で応援してくれる。ほとりを訪れる人の個性的なアイデアや思いを応援しつつ、自身も「村」構想の実現を見据える。

【マイ・フェイバリット・群馬】
◎谷川岳・一ノ倉沢 迫力の絶景味わう
谷川岳の一ノ倉沢は、本格的な登山をしなくても迫力の絶景を味わえる。谷川岳インフォメーションセンターから歩いて片道1時間程度。電動バスやレンタサイクルもあるが、徒歩がおすすめ。道中の景色も堪能してほしい。町には植物や地層に詳しかったり、クライミングが好きだったり、個性的な人がたくさんいる。誰と歩くかによって、見える風景もガラッと変わってくるのが面白い。

  

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