空き家や放棄地で農業 「キクラゲ、野菜」事業拡大 元K-1選手が社長・クールコネクト伊勢崎

空き家や放棄地で農業 「キクラゲ、野菜」事業拡大 元K-1選手が社長・クールコネクト伊勢崎
       

2023年に設立した農業スタートアップのクールコネクト(伊勢崎市八斗島町)は、野菜の露地栽培や空き家を活用したキクラゲの栽培で事業を拡大している。投資家向けのオーナー制度を導入し、業務委託料として預かった資金で設備投資を進める。2期目に当たる25年1月期の売上高は、前期比5倍超の2億3千万円と急成長を遂げた。

前橋市出身で、打撃系格闘技「Kー1」の選手としてリングに上がった経験を持つ神戸翔太社長(32)は、引退後の17年に伊勢崎市内でパーソナルジムを開いた。経営が軌道に乗る中、並行して始めたのが未経験の農業だった。

現場で農家の減少や耕作放棄地、遊休農地の増加など課題が山積していることを肌で感じたという。神戸社長は「解決すればお金も人も集まり社会に還元でき、ビジネスチャンスがある」と農業一本に絞ることを決意。5店舗まで増やしていたジムを売却した。

前橋市内の耕作放棄地で長ネギの栽培を始め、現在は計4ヘクタールの畑に長ネギのほか、オクラ、ナス、トウモロコシ、ゴーヤーなどを育てている。

今月から栽培を始めたのがキクラゲだ。住宅街の3棟の空き家を活用。天候に左右されず安定生産が見込めるため、野菜と比べて高収益が確保できるという。シイタケやナメコの試験栽培も進めている。不動産事業部を立ち上げ、空き家を改装し栽培する場所を増やしている。

栽培が順調に進む中、農業は高額な初期投資が必要との課題もはっきりしてきたという。「新しいプレーヤーが増えず新陳代謝が悪い業界になっている。農業を変えていきたい」と始めたのが投資家向け事業だ。

昨年11月から投資家向けのオーナー募集を始めた。1口50万円から、①野菜②キノコ類③空き家物件―の3種類のオーナーを募り、5カ月間で計1億5千万円が集まった。年間契約で預かった業務委託料に対し、10%程度の利益を還元する。野菜やキクラゲは収穫体験も行う。「先行投資で、一気に巨大農家になれるチャンスがある。社会問題となっている空き家の有効活用で、設備投資の費用も抑えられる」と強調する。

26年1月期は売上高13億円、27年春には、プロ投資家向け市場「東京プロマーケット」の上場を目指す。「地域活性と持続可能な農業の両立を目指している。参加型農業で日本の農業を変えていきたい」と力を込める。

  

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