織都のすごさ創作刺激 ボードゲームで誘客図る

織都のすごさ創作刺激 ボードゲームで誘客図る
       

「ふふふ」経営、ファッションデザイナー 和崎拓人さん(39)=桐生市本町

「ふふふ」と店名が大書されたのれんをくぐると、膨大な数のボードゲームと衣服が並ぶ空間が広がる。桐生市本町6丁目でファッションアトリエ兼ボードゲームカフェを経営。本業はファッションデザイナーだが、シェアオフィスのデザイン、ガイド冊子制作などさまざまな仕事を頼まれることが増えた。「地元から信頼された証し」と声を弾ませる。

出身は大阪府堺市。繊維産地が好きで、全国を巡る中、2016年に桐生市を初めて訪れた。デザインや加工、刺しゅう、縫製など多様な工程の技術が集積した産地である上、センスあるセレクトショップが多いことに驚いた。

「産地でありながらトレンドを扱う小売店が集まったすごい街。クリエイターとして刺激があった」。暮らしていた東京都内から日帰りできる距離感も決め手となり、妻の里緒さん(36)と共に19年に移住した。

空き店舗を自らの手で改装していると、知り合った経営者が手伝いに訪れた。作業中に店舗前のベンチで昼食を取っていたら、住民がコロッケや飲み物を差し入れてくれた。人の良さもこの街の魅力だと分かった。「酒を飲まず夜に遊べる場所をつくりたい」と、都内ではやっていたボードゲームカフェにした。北関東最大級の750種のゲームをそろえ、市外から来訪者を呼び込む。

桐生の魅力を多くの人と共有したいと考え、同世代の移住者と地域活性化に向けた試み「funknown(ファンノウン)KIRYU」を展開している。「街の知らない、知らない街を楽しもう」をコンセプトに、第1土曜に商店などが目印として同じロゴの旗を掲げ、交流サイト(SNS)で観光客に散策を促している。

取り組みを発展させ、地元の大学生と100店舗程度を取材して店主の人柄などを交えて紹介する発行物「funknown page(ページ)」の制作を構想中。文化を感じ取るアンテナを磨き、学生の地域への愛着を育む狙いもあり、参加者を募っている。

活動の原動力は桐生が正当な評価を受けていないという思いだ。「特に住民の自己評価が低い。外からほめてもらい、街の魅力に気付く取り組みになればいい」

【マイ・フェイバリット・群馬】

◎個人商店 「とがった」店増える

桐生市内にはセンスあふれる個人商店がひしめいている。特に全ての県民に訪れてほしいのは、最先端のファッションを扱うセレクトショップ「st company」(川岸町)だ。アウトドアと旅をテーマとしたショップ「Purveyors」(仲町)も薦めたい。

近年は自分のような移住者による店舗の開業が相次ぎ、良い意味で「とがった」商店が市内に増えてきた。

  

他の記事を読む

カテゴリー