《暮らしてみれば 移住者の現在地》「面倒見良い」地域支え 音楽やスキーも満喫

《暮らしてみれば 移住者の現在地》「面倒見良い」地域支え 音楽やスキーも満喫
       

福田ぶどうマルシェ園主 福田智美さん(47)=沼田市岡谷町

「福田ぶどうマルシェ」は沼田市発知新田町の田園風景に溶け込む。園主の福田智美さん(47)が夫の靖さん(57)と開いたのは2019年1月のことだ。

福田さんは国立がん研究センター研究所、靖さんは国立感染症研究所で働いていた。「定年後に農業をやりたい」と提案したのは靖さん。2人で山梨県のぶどう農家にボランティアで通うようになった。「観光農園を開きたい」。本県が移住先の決め手となったのは「都内からちょうど良い距離」だったからという。

移ろうとした矢先の16年11月、福田さんに病気が見付かった。

「脊髄髄内腫瘍」。発見当初は全く足が動かず、都内の病院に入院した。治療は8カ月に及んだ。それでも退院直後の17年8月、本県へ移住した。「新しいことに挑戦しようという思いがあった。(移住に)不安はなかった」

前橋市出身の靖さんは「群馬はちょうど良い田舎」と本県の魅力を言い表す。園は山々に囲まれる。一方で30分ほど車を走らせれば町中に出られ、買い物には全く困らないという。

私生活も充実させる。アマチュア交響楽団に所属し、バイオリンを弾くのは福田さん。月1、2回ほど都内で練習し、コンサートで舞台に立つことも。チェアスキーにも挑戦し、農閑期も満喫している。

福田さんは「群馬は面倒見の良い人が多い印象」と指摘する。移住の際、市職員が丁寧に対応してくれたことが忘れられない。地域住民にも折に触れて気にかけてもらい、ブドウを買おうと園を訪れて笑顔を見せてくれるという。

園は都市住民向けの田舎体験ツアーにも協力している。自身も移住者として県民の1人になった福田さんは「少しでも沼田の魅力を知ってもらい、人が増えてほしい」と話す。

【マイ・フェイバリット・群馬】
◎焼きまんじゅう 「ならではの魅力」
みそ風味の料理が好き。本県の「ソウルフード」の焼きまんじゅうがとりわけ大好物で「ほたかや」(沼田市上久屋町)をよく訪れている。「焼きまんじゅうがあることも、群馬ならではの魅力です」

移住時に協力してくれた人が経営しているカフェもよく訪れる。逆にカフェの従業員がブドウを買いに来ることも多く、交流を深めている。

  

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