群馬県が取り組む「空き家」の対策

空き家
群馬県が取り組む「空き家」の対策
       

社会問題となっている空き家。もうすでに空き家を持っている人や、いずれは空き家になるであろう自宅のある人は、早い段階でその使い道についてしっかりと向き合っておきたい。具体的な対策について、群馬県住宅政策課の井上修課長に話を聞いた。

          
空き家対策特別措置法とは
       

空き家問題を解決するため、平成26年11月に国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立した。これまでは所有者の許可なしに敷地内へ立ち入ることは、不法侵入にあたるとされ不可能だったのが、この法律によって自治体は、敷地内への立ち入り調査が行えるようになった。空家対策特別措置法では、倒壊の危険や周辺環境の悪化につながる可能性のある空き家を「特定空家等」に指定することができる。そして「特定空家等」の所有者に対して市町村は助言、指導、勧告、命令などの権限があり、それでも従わない場合は、行政が撤去などの強制対処をとることもできるようになった(※)。

※代執行が行われた際の費用は所有者などに請求される

 

空き家所有者は不安に駆られるかもしれないが、定期的な空き家の管理を行っていれば問題はない。「建物内に風を入れ、排水の匂いを防止するために水を流し、敷地の草やゴミを除去するなど、月に一度は見回ってほしい」と、井上課長は訴える。

万が一、自治体からの指導を受けてしまった場合は迅速に対応する意思表示が大切だ。

     

          
マイホーム借り上げ制度の活用
       

群馬県と市町村は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)による「マイホーム借上げ制度」を活用し、空き家の活用や住みかえを支援する「群馬県空き家活用・住みかえ支援事業」の取り組みを行っている。この仕組みは、高齢者世帯の持ち家をJTIが借り上げて、子育て世帯や都心部からの移住希望者などに転貸し、制度利用者に安定した家賃収入を保証するというもの。

 

これにより自宅を売却することなく、安心して住みかえや老後の資金として活用することができる。また、3年ごとの契約見直しでマイホームに再び戻ることも可能。借りる側としても良質な住宅を相場より安い家賃で借りられ、敷金・礼金の必要もなく、3年ごとに優先して再契約ができるといったメリットがある。

 

ただし借り上げの主な条件として、住宅の持ち主が50歳以上であること、住宅に一定の耐震性が確保されていることなどが定められている。

     

          
所有者は問題意識を持って適切な選択を
       

空き家の管理に困っている所有者は、民間事業者等が行っている空き家管理サービスを利用することも一つの方法だ。県では空き家管理を行う事業者の情報を提供する「群馬県空き家管理事業者情報提供制度」を開始している。

 

また、空き家問題の解決策として注目されているのが「空き家バンク」。これは空き家の所有者と空き家の利用希望者をマッチングさせる仕組みで、営利を目的としていない自治体が主体となって運営し、情報を提供するサービスのこと。聞くところによると、都心部からの問い合わせも多く需要はたくさんあるのにも関わらず、なかなか空き家が市場に出回らず、供給が追いつかないといった現状があるそうだ。登録数の増加と流通促進が目下の課題となっている。

 

これらの空き家に対する総合的な情報は「群馬県住宅供給公社」ホームページ上で提供している。井上課長は「空き家全般に関するよろず相談として、総合窓口の『ぐんま住まいの相談センター』を活用してほしい。建築のプロが在籍し、さまざまなアドバイスが行えます。また、弁護士をはじめ各分野の専門家による無料相談会も実施しています」と呼びかけている。

 

■県内総合窓口

ぐんま住まいの相談センター(群馬県住宅供給公社)

電話 027-210-6634(音声ダイヤル3番)

 

2021年2月28日付 すみかくらぶ 掲載

     

  

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