移住支援金の支給2.5倍 自治体裁量拡充、子ども加算金で 県内、昨年度件数 

移住支援金の支給2.5倍 自治体裁量拡充、子ども加算金で 県内、昨年度件数 
       

東京圏からの移住者に60万円以上を支給する「移住支援金」(※)で、2022年度の支給実績は県内23市町村で計200件と、前年度の2.5倍に増えたことが県のまとめで分かった。高崎市が80件で最も多く、前橋市が45件で続いた。子どもの数に応じた加算金の導入や、自治体の裁量で対象を拡充したことなどが影響したとみられる。転職せずテレワークで移住前の仕事を続ける人が6割に上り、県はさらに誘致に力を入れる。

◎テレワークが6割

移住支援金の支給額は単身60万円、2人以上の世帯100万円。22年度から18歳未満の子ども1人当たり30万円が加算された。支給要件は①テレワーク②市町村が設定する「関係人口」に当たる③内閣府の専門人材事業で新規就業④地域の特定の中小企業に就職⑤地方創生起業支援事業を活用して起業―のいずれかを満たす人。
国の施策で2019年度に始まった。要件は20年度まで④⑤のみだったが、利用を増やそうと21年度に市町村の裁量で①②③を追加できるようになった。
県内の支給実績は制度変更に伴い19年度2件、20年度8件、21年度79件と増えていた。22年度は200件中、2人以上の世帯が6割超を占めた。支給要件は①が120件、②が68件など市町村の裁量分が多かった。
高崎市は前年度の34件から2倍以上に増えた。市によると、「関係人口」を比較的幅広く設定し、市内の居住歴や通学歴、市内に本社、支社がある企業への勤務経験なども対象にした。移住者からはテレワークをしながら必要に応じて通勤できる交通の利便性、託児など子育て環境、近年整備された文化施設を評価する声があったという。
前橋市は昨年度新たに「関係人口」を要件に加え、前年度から3倍以上に伸びた。移住の相談に応じる「移住コンシェルジュ」を配置し、希望者に対するきめ細かな対応に力を入れている。町村ではみなかみ町が前年度と同じ6件で多かった。上毛高原駅を利用して都内に通勤できる環境などをアピールしている。
県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課は「コロナ下で移住先の選択肢として群馬に関心が高まっている」とする。23年度は子どもの加算分を市町村判断で最大100万円にできるようになり、さらに利用が進むと想定。23年度予算で移住促進関連として過去最大の3億7500万円を確保し、移住希望者や市町村の支援に力を入れる。

【※】移住支援金とは
東京一極集中を解消しようと国が全国で始めた。国、県、市町村が負担して支給する。都内の23区や埼玉、千葉、神奈川の3県に住み、23区内に通勤していた人などが対象。22年度は茨城県が184件で前年度の2・7倍に増えるなど近県でも支給が伸びている。

  

他の記事を読む

カテゴリー