東京圏 ▼▼ 本県 79件 昨年度 移住支援金 件数10倍に

東京圏 ▼▼ 本県 79件 昨年度 移住支援金 件数10倍に
       

東京圏からの移住者に最大100万円を提供する「移住支援金」*の昨年度の本県の支給実績が、前年度の10倍近い79件だったことが県のまとめで分かった。17市町村で実績があり、最多は高崎市の34件、次いで前橋市の13件、みなかみ町の6件だった。昨年度から支給要件に追加された移住先でのテレワークが全体の7割近い52件で、コロナ下で都市部を避け、転職せずに移住した人が一定数いたとみられる。

◎テレワーク7割近く
移住支援金は国の施策で2019年度に始まり、20年度まで特定企業への就職や起業が条件だった。実績は19年度が2件、20年度が8件で、いずれも起業した人。利用を促そうと、昨年度からテレワークや市町村が設定する「関係人口」に当たる場合なども、市町村の裁量で支給対象に加えることが可能になった。

昨年度の79件中、単身者は32件、2人以上の世帯が47件。家族を含めた移住者は計168人。上位3市町以外の実績は桐生市4件、太田、館林、渋川の各市3件、沼田、安中、邑楽の各市町2件、伊勢崎、みどり、長野原、高山、東吾妻、玉村、大泉の各市町村1件だった。

高崎市の34件のうち、テレワークが19件、関係人口が14件。市によると普段はテレワークで働き、必要時は新幹線で通勤する人もいるという。人材の呼び込みを狙い、同市は関係人口について、市内に本社や支社がある企業に勤務経験がある人など、他の自治体に比べ幅広く設定した。

同市では芸術や体育、保育施設や、理由を問わず一時的に子どもを預けられる託児施設などの整備が近年進んでいる。富岡賢治市長は「地方移住でも都会と同じものが味わえるよう、交通の便と子育て環境の良さの両方が必要。総合力が問われている」とみる。

前橋市は13件中、世帯が11件と多くを占める。担当者は「前橋で子育てしたいという方が増えた。コロナ下で東京に住む意味が薄らいでいる」とする。本年度から新たに、同市に住んだことがある人など関係人口も要件に追加した。

みなかみ町は6件全てテレワーク。上毛高原駅から通勤も可能な環境をアピールし、町内にテレワーク拠点を整備するなど、誘致を積極展開。「テレワークで移住に転職の必要がなくなり、自然やアウトドアに関心が高い人から問い合わせが増えている」という。

県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課は「毎日の通勤が必要なくなった人から群馬が注目されている」と指摘。昨年度、近県でも移住支援金の実績が増え、栃木県は74件、茨城県は68件だった。

【*移住支援金とは】
国が制度設計し、全国で実施している。都内の23区や埼玉、千葉、神奈川の3県に住み、23区内に通勤していた人などの条件がある。支給額は2人以上の世帯100万円、単身60万円。本年度から18歳未満の子どもがいる世帯は30万円が追加される。

  

他の記事を読む

カテゴリー